自宅に戻られてゆく患者さんのとびきりの笑顔と支えるスタッフたちの成長は私のかけがえのない喜び
- 役職
- 副部長
- 勤続年数
- 20年
- 所属
- 回復期リハビリテーション病棟
以前は都内の病院に勤務していましたが、主人の仕事の関係で千葉に引っ越したため、新たに働ける病院を探していました。こちらは家から通いやすく興味を持ち、実際に患者となって外来を訪れてみたりまでしました。患者目線での院内の雰囲気や職員の対応の仕方など、細かな点までこだわって観察しましたね。すると院内はとても清潔に保たれていて、患者さんに対しても心を尽くした対応をなされていることがよくわかりました。病院周辺には高齢者の方も多く、ゆっくりわかりやすい柔らかな物腰で対応されている皆さんの姿には心を打たれましたし、心地良い温かな空気に溢れた病院だと感じました。ここなら長く働ける職場になると確信し、入職を希望しました。真剣に長く働ける場所を探していたので、雰囲気というのはやはり重要な要素ですよね。今でもここを選んでよかったと心から思える職場です。
今は副部長という立場にあります。看護部長の仕事の補佐や相談をお受けすることはもちろん、患者さんからのクレームや他施設への入所検討などその業務内容は多岐に渡ります。また、私は回復期リハビリテーション病棟の管理者としての責任もあります。回復期リハビリテーション病棟とは、一般病棟での治療が終わった患者さんのうち、筋力低下などで日常生活動作に不安がある方、ご自宅での生活が困難な方のADL向上を目指す場所です。患者さんはご高齢の方が主です。例えばお風呂やトイレに一人で行けること、食事ができることはご家族にとっても重要な問題となります。総勢25名ほどの看護・リハビリスタッフが皆さんのADLを懸命に上げ、自宅での生活実現に繋げるリハビリをしています。また、骨折で入院された方でも心臓や腎臓にもともと重い疾患を抱えられていらっしゃるケースも多くあります。例えばリハビリ中に脳梗塞を引き起こす可能性もあるなど、骨折という症状単体を超えて患者さんの持つ背景を広く知っておく必要がある仕事です。昨年より当院も電子カルテが導入され、医師の記録やリハビリ記録なども全て電子化管理されています。合わせて毎朝、詳しくケースカンファレンスも行っていますので、患者さん一人ひとりに対する意見交換は活発で一歩踏み込んだフォローを実現できているのではないでしょうか。一方で自宅には高齢のご家族しかおらず、今の状況ではフォローが難しいという現実もあります。「どうしてこの患者さんは自宅に戻れないのか」という課題を一人ひとりが丁寧に考え、ときに家族の経済状態、誰が実際介護に携わるのかといったかなりデリケートな部分にも踏み込まなければならないときがあります。そこがこの仕事の難しい部分ですね。それでも「こんなに元気になって自宅に戻れる!」という日が必ずやってきます。難しい中にもかけがえのない大きなやりがいを感じられる仕事です。スタッフの喜び以上に、患者さんご本人の喜びは計り知れません。そのとびきりの笑顔が見られる瞬間が一番充実感を覚えます。
私はもうひとつ、スタッフのレベルアップを実感するときも同じくらいの喜びと充実感が感じられますね。求めるものが少しずつ実を結んでいくといいますか、こちらから指示しなくても自然と自分たちで考えて行動する姿などには人としてもチームとしても大きな成長を感じます。育成には力を入れています。やはり「自分たちで考えて作る病棟」でなければ患者さんのためにはなりませんし、誰かがいなければ回らないというチームは組織として良くないものと思います。些細ですが、私が休んだ翌日に「昨日は何もありませんでした」という報告をスタッフから聞くことすら私にはとても嬉しく感じる瞬間です。みんなで力をあわせて無事に乗り越えてくれたという感謝の気持ちと、一人ひとりの確かな力を感じられてとても心強いです。スタッフの成長は自分のことのように毎日楽しみですね。
昨今、看護師の仕事も一種のサービス業のように捉えられつつあります。品質の統一という観点でも、声掛けひとつからどれだけ患者さんの傍に寄り添って期待に応えられる内容を提供できるかという部分はとても重要ですので、常に意識高く持っています。それを支える研修体制や勉強会も当院は充実しています。「教育グループ」という部署があり、全職員に対して多種多様な学びの場がある上に、各病棟では独自の勉強会も開かれています。看護師は特に自身の経験や感覚にゆだねる部分も大きいですから、研修やそういった学びの場で裏打ちのある経験に高めることは重要です。院内には託児所も併設されており、子育て中の女性たちもキャリアを積み上げやすい環境がありますね。
復職の際には、できるだけ産休育休以前の現場に戻してあげようという取り組みがあります。全く新しい職場に復帰するには、慣れない育児との両立と合わせてスタッフの負担も大きく、本人の働きやすさも変わってきます。同じ病棟に復帰できることは、復職のハードルも下がりますし、迎い入れるこちら側も安心です。また、お子さんが3歳になるまでは時短勤務も可能です。急なお子さんの病気や学校行事なども経験者の多いスタッフですから、お互い様という理解があり皆が自然とフォローし合っています。
いつも『地域に根差した平和台病院』という目標を掲げています。ここは予防医療センターから一般病棟、在宅センター、緩和ケア病棟といったような一連の内容を総合的に備えている病院です。しかしながらまだその認識は地域の皆さんに浸透していない現状があるかと思います。ときどき患者さんからも「え?こんなことまでやっているの?!」という良い意味で驚きの声をいただくことがあります。我々としては一生懸命やっているつもりながら、なかなかまだ知られていないこともあるようで、その認知度の引き上げにもっと尽力しなければと考えています。平和台病院ができることをもっと広く知っていただくということが目下の私の目標ですね。
その他、私個人としてはスタッフの成長も大きなテーマです。毎年看護目標がそれぞれの病棟で掲げられますが、私たちリハビリ病棟は自宅への復帰を目指すことが大きな課題です。わかりやすい指標としては自宅退院率の数値での評価ですが、それを上げていくということも大きな目標です。まったくケアの仕方を知らないご家族に対してオムツの交換方法やお風呂の入り方などの指導も含まれますが、コミュニケーションは看護の技術を超えた人間性や内面の部分も問われるものです。人間力としてもスタッフ皆でもっと磨いていきたいと思います。
自分の意見をしっかり持っていて明るく健康な方はいいですね。「人が好き」ということがなにより大切な現場です。笑顔が素敵な方とぜひ一緒に働きたいですね。初心者の方もリハビリ病棟は入り口として働きやすい現場だと思います。スタッフは皆優しく高め合える仲間です。入職後の学ぶ場も多く用意されていますので、安心して仕事に取り組める病院です。